国民資本主義の終焉 2009 1 11

書名 金融大崩壊 「アメリカ金融帝国」の終焉
著者 水野 和夫  NHK出版生活人新書

 本書を読むと、20世紀末から21世紀初頭にかけて、
「国民資本主義は、終わった」と感じざるを得ないでしょう。
 20世紀までは、「資本と国家と国民」の利益がリンクしていたのです。
しかし、現在、資本が、「国家と国民」から分離してしまったのです。
 このことについて、ニュアンスは違うと思いますが、
ズビグニュー・ブレジンスキー氏は、歴代の大統領を評して、
著書の中で、
「グローバリゼーションを妄信したクリントン」と書いていたことを思い出しました。
 現状では、地球儀資本主義でしょうか。
地球儀で見て、最も有利に資金調達ができる国で資金調達をして、
その資金を、最も有利に運用ができる国に投資するという状態になっています。
これが、グローバリゼーションの成果でしょう。
マネーに国境はなくなったのです。
 この状態では、国家の上に、
資本という「超国家」が存在しているような事態でしょう。
(最近、日本でブームとなっている金融本を読むと、そう思わざるを得ないでしょう)
 さて、同書では、円建ての米国債について書いています。
それが、現実的な対応となるかもしれません。
 現状では、日本国民の多くが、ドル暴落の懸念を共有している状態です。
サブプライム問題が始まって以来、連日のように、
円急騰・ドル急落というニュースが流れているからです。
それが耳に焼き付いてしまった状態でしょう。
そういう状況で、ドル建ての米国債は、難しいかもしれません。
円建ての米国債ならば、最終的に日米双方の利益になるかもしれません。
(注)
「金融本」
 昔ならば、金融関係の本は、業界関係者しか読まないので、
常にマイナーな存在で、大型書店の片隅に置かれている状態でしたが、
現在、折からの金融危機で、一般の人も金融に興味を持つようになり、
一般の書店でも金融関係のコーナーがあるようになりました。
 金融音痴だった日本人が、金融リテラシーを身に付けることは、よいことです。
日本は、産業資本と金融資本の二本立てで国造りを進めるべきです。





















































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